#17 等々力渓谷

このトピックスがお手許に届く頃は少しだけ涼しさを感じられる頃と思いますが、それでも暑さが厳しい季節、涼を求めて今回は等々力渓谷へ。

皇居、明治神宮、新宿御苑、大小の公園、神社仏閣、旧大名の屋敷跡など、東京は大都市にしては緑が多くあります。しかし、水となると多くの中小河川が暗渠にされてしまい、大きな川以外にはあまり残っていません。今回紹介する等々力渓谷は東京23区に残っている恐らく唯一の渓谷です。 当社からは、南西方向に直線で約4km、以前にご紹介した九品仏から大井町線で西に二駅、等々力駅で下車して2、3分の場所にあります。車なら当社の近くを通る目黒通りを西に行き、環状八号線と交差した辺りになります。谷沢川という多摩川に流れ込む川が多摩川の河岸段丘を削ってできた2km弱の渓谷が等々力渓谷です。

Google Mapで世田谷区等々力付近を航空写真でみると、等々力駅の少し西側に樹木の帯が線路から直角に南の方角に向かって伸びているのが見えますが、この部分が公園として整備されている渓谷です。等々力駅から線路に沿って西方向にも樹木の帯が伸びているのが見えます。この部分も渓谷になっているのですが、この方向には立ち入ることができず、大井町線の車窓から眺めることができるのみです。

渓谷の中ほどから崖の上にかけて等々力不動尊があるのですが、今回は、この不動尊から百段弱の急な石段を降りて渓谷に降りてみました。渓谷脇には茶店があり、また修験者が使う竜の口から出てくるわき水があります。この湧水では今でも水に打たれて念仏を唱える人がいるとのことです。昔は瀧の音が周囲に轟いたということで、等々力(とどろき)という地名がついたとのことですが、今では大井町線の電車の音、環状8号線の車の音が轟いています。 渓谷の底部の幅はそれほど広くなく、川を中心に両側に10m強の崖があり、この崖の面に樹木が鬱蒼と茂っています。上を見上げても見えるのは空ではなく木の葉ばかり。崖の途中からは所々に水が出ていて、これを持ち帰って飲む人が居るようで「煮沸してから飲んで下さい」という注意書きが出ていました。川の水深はくるぶし程度の部分が多いのですが、所々に深みがあり、魚影が見えました。鮎、はぜ、どじょう、メダカ等が棲息するそうです。渓谷に沿っては横孔式の古墳があり、3体の埋葬者が見つかったそうです。この辺り、多摩川に近くしかも河岸段丘の上なので古い時代に人が住むには良い場所だったのでしょう。

川に沿っての遊歩道はコンクリート舗装され、また川の両岸は丸石を埋め込んだコンクリートになっているのが味気無いのですが、渓谷一杯に繁茂する緑は都市部に残された貴重な自然で、今回も渓谷に降りると少し涼しく感じました。等々力不動尊は桜の名所で、春には渓谷の崖の上にある舞台から、多摩川方面に向かった自然の面影を残す斜面に、多数の桜が咲いている景観は、みごとなものです。7月には蛍が見えるとのことですが、こちらは別の場所で養殖したものを放しているようです。

谷沢川の上流ですが、約2kmの田園都市線の用賀駅の近く、東名高速道路に接続する首都高速3号線の下で消えています。源流は用賀から北北西に約2km、小田急線の千歳船橋近辺の湧水ということなのですが、用賀付近から上流側は暗渠になっていて目にすることができません。谷沢川には自然の湧水だけでなくもう一つ水源があり、多摩川に流れ込む別の川である仙川(中央線、小金井あたりを水源とする一級河川、延長約21km)から取水した水をポンプアップして、用賀付近で谷沢川に導入しているとのことです。蛍や水源の、こういう事実を知ると少し寂しく、都会の限界を感じるのですが、我々にとってはオアシスとして充分に楽しめる場所です。私としては、暗渠にした中小の河川も何とか昔に近いものに戻して欲しいと思っています。

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等々力不動尊から渓谷への道です。
大きな木々に囲まれ、葉が空を覆い隠しています。

川岸の遊歩道。車の音なんて聞こえません。
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