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| Mar 30, 2011 |
EMSolutionにおきましては、電磁プランジャのような磁極間の距離が変わる解析では、可動子(アーマチャ)周辺の空気領域の要素を変形させて解析を行います。変形運動の際、変形空気領域の節点位置を内そうするための二つのメッシュデータ(pre_geom、 deform_mesh)を必要とする方法を“運動と外部回路を連成した電磁場解析”に、変形領域を制御要素(Control Volume要素)で囲うことによりEMSolution内部で自動的に変形させて解析する方法を“変形運動の改良”に示しています。二次元解析では、やや手間はかかりますが最大変形位置での節点をdeform_meshとして作成することも可能ですが、三次元解析ではさらに手間がかかってしまうため、制御要素により変形領域を指定する方法の方が適していると思います。ストロークの大きいリニアアクチュエータは、運動側(可動子)の運動方向に静止側(固定子)の磁極が無い場合、リニアモータと同じ“モータの解析”で説明しているスライド法を使用する方がよいかと思います。ここでは磁極間距離が変わる三次元モデルを使用し、制御要素を用いた解析事例を示します。変形を伴う解析を行うには変形運動をさせるにはDeformモジュールが、スライド法を用いるにはMotionモジュールが必要となります。
1. プランジャ型電磁石
プランジャ型電磁石は“運動と外部回路を連成した電磁場解析”、“変形運動の改良”で二次元解析を示していますが、ここではそれとは異なるモデルを使用し、変形を伴う解析を行います。Fig.1に解析モデルを示します。モデルは文献(1)より拝借しています。解析領域はモデルの対称性より1/4モデルとし、モデル下側はヨークコアにより磁路が閉じており、磁束の漏れが少ないと予想できるため、その側の空気領域はそれ程遠方まで作成していません。上側と横側には磁束が漏れるため、下側に対しやや外側まで空気領域を作成しています。制御要素は三角柱と六面体有限要素で作成しており、節点を共有し、その節点は固定側と静止側に少なくともそれぞれ一点接している必要があります。しかし変形領域の要素は一つの制御要素内に作成してある必要は無く、制御要素の領域内に作成してあれば計算可能です。
おおよその寸法は文献(1)に載っていますが、材料特性、計算条件は載っていませんので、可動子(プランジャ)およびヨークコアはS45Cの非線形磁気特性を与え、コイル100ターンに励磁電流10Aを流すこととします。コイルはELMCURを使用して、CURRENTにターン数密度(T/m2)を与えています。コイルにはターン数Tを設定し、電源であるCIRCUITやNETWORKで電流Aを与え、アンペアターン(AT)の電流がコイルに流れると考えた方がわかり良いかと思います。ELMCURは周方向に層状にメッシュ分割がされ要素断面積が一定の場合に使用できるものです。なお、ELMCURは六面体、三角柱要素のみに使用できるもので、上記のような制約があります。そのため、コイルメッシュを四面体で分割したい場合や層状に分割するのが難しい場合ではELMCURは使用できません。その場合はSDEFCOIL、PHICOILをご使用ください。
| (ⅰ) 解析メッシュ(赤面は対称面を表す) | (ⅱ) 部材と可動子周りの変形空気領域 | (ⅲ) 変形空気領域と制御要素 (Control Volume) |
| Fig.1 プランジャ型電磁石 解析メッシュ | ||
| Fig.2 プランジャ型電磁石の定常吸収特性 | Fig.3 プランジャ型電磁石の磁束密度ベクトル分布図 |
2.ヒンジ型電磁リレー
次に、ヒンジ型電磁リレーについて示します。これは狭い角度の回転運動を行わせる代表的な直流電磁石として知られています。解析メッシュをFig.4に示します。対称性よりZX面でカットした1/2領域を有限要素メッシュ作成しています。上部の可動子鉄心がヨークに設けられたヒンジ(支点)を回転中心にしてコイル内の磁極に吸引される際、回転動作をする構造となっています。アーマチャはヨークと接しておらず、0.1mmのギャップを設けています。
こちらのモデルも文献(1)に材料特性、計算条件は載っていませんので、可動子(アーマチャ)およびヨークコアはS45Cの非線形磁気特性を与えます。電磁リレーは電圧が突然印加されるため、過大電流が流れすぎないように十分大きなコイル抵抗があるか、もしくは負荷抵抗を繋ぐと思われます。コイル抵抗も負荷抵抗も不明のため、文献値よりやや大きいですが、定格電流200mA、定格電圧12Vとして、コイル抵抗を含めて外部抵抗を60Ωと決めることにします。可動子と磁極とのギャップ長が0.2mmの時の定常吸引力(トルク)がおよそ0.05Nmとなるようにコイルターン数を1000Tとします。なお、コイルは矩形とし、4面を指定して設定するSDEFCOILを使用します。
確認の意味も含め,上記条件で定常吸引力特性を求めてみます。アーマチャとヨーク上部磁極間とのギャップ距離を0.1mm~0.7mmと強制的に動かして静磁場解析を行います。上記例と同様,メッシュを変形させたいため,Deformのパラメータを設定します。メッシュ作成位置はアーマチャとヨーク磁極との距離0.1mmで作成していますので,角度は0degとなっています。ここを基準位置とすることにします。そのため,回転中心を定義するため,基準位置とメッシュの全体座標の原点を合わせます。EMSolutionでは回転軸はZ軸とされて解析されますので,全体座標のY軸をローカル座標のZ軸として定義します。ローカル座標は任意の位置に定義できますが,出力値は全体座標値として出力されるため,その場合座標変換が必要になりますのでご注意ください。回転運動ですので,POSITION 1,POSITION 2には角度を設定します。POSITION 1=0deg,POSITION 2=45degとします。時間関数には基準位置からの相対角度を角度(deg)で設定します。

| (ⅰ) 解析メッシュ ZX面:対称面 | (ⅱ) 部材と可動子周りの変形空気領域 | (ⅲ) 変形空気領域と制御要素(Control Volume) |
| Fig.4 プランジャ型電磁石 解析メッシュ | ||

| (ⅰ) ギャップ距離 0.1mm | (ⅱ) ギャップ距離 0.7mm |
| Fig.6 ヒンジ型電磁リレー 定常吸引力時の密度分布 [T]
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| Fig.7 ヒンジ型電磁リレーのコイル電流波形 | Fig.8 ヒンジ型電磁リレーのギャップ距離 | Fig.9 ヒンジ型電磁リレーの動作吸引力 |
| Fig.10 ヒンジ型電磁リレー t=2.5msにおける導電率有り無しの磁束密度分布 | |
4.おわりに
これらより、プランジャ型、ヒンジ型電磁石の解析をEMSolutionのDeformモジュールとDynamicモジュールを用いて解析する方法が示せたと思います。変形領域は空気である必要がありますが、制御要素を使用すれば三次元モデルでも比較的簡単に設定することを示せたかと思います。今回は直流動作のみでしたが、交流で同様の動作をする交流電磁接触器などの解析も行うことができると思います。ご使用の際に参考になれば幸いです。
プランジャ型電磁石:inputStatic_planger3D.ems,pre_geom.nas
無負荷解析:静解析 inputStaticMotion_hinge3D.ems運動連成解析 inputMotion_hinge3D.ems,pre_geom.nas