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誘導電動機の解析誘導電動機の二次元解析を例として、EMSolutionの新しい機能について、説明します。本機能はr7.6バージョンよりリリースいたします。
新しい機能としては、
1. 交流定常解析においてスライド法を用いることが可能になりました。
従来、スライド法による、固定部と可動部の接合は静磁場および過渡解析に限られてきましたが、交流定常解析においても使用が可能となりました。このことにより、同じメッシュで、交流定常、静磁場、過渡解析を統一的に取り扱うことができます。 また、固定部と可動部の周波数を実効的に変えることにより、滑り効果を入れることができます。2. 交流解析の結果を初期値として、過渡解析を行うことが可能となりました。
非線形定常状態を求めるには、過渡解析を定常に達するまで行う必要があります。ただ、系の時定数が大きいときには過渡状態が長く続き多ステップの解析を行う必要が生じます。ゼロ初期値から始めますと、多大のステップを要し過大な計算時間を必要とする場合があります。このとき、交流定常解析(現状線形解析に限られます)の結果を初期値として計算を始めますと、定常に比較的早く達します。ここでは、「電気学会回転機のバーチャルエンジニアリングのための電磁気解析技術調査専門委員会」において検討されているモデルを例として、上記機能について説明します。二次元解析の結果で、回転子バーのスキューの効果は入っていませんが、スキューを入れた三次元解析も同様に可能です。 Fig.1に解析に用いたメッシュ分割図を示します。Fig.2にはその一部詳細を示します。空隙を4層に分割し、その中心面にスライド面を設け、スライド運動が可能です。モデルは、180度回転対称とし、全体の半分を解析します。三層の固定子巻線はY字結線されているとし、電圧駆動されるとします。また、ロータバーには、エンドリングを考慮した等価的な電気伝導率を与え、EMSolutionのSUFCURにより、z方向のトータルの電流量をゼロとしています。


Fig.3に回転子が運動しない場合(すべりS=1)の、固定子一次巻線の電流変化の解析結果を示します。時刻が負では、交流定常解析の結果を示し、正ではそれを初期値としての解析結果を示します。交流定常解析は透磁率を適当に与え、線形計算を行います。過渡解析の初期に細かい振動が見られますが、すぐに定常に達し、過渡現象は見られなくなります。
この解析では、ゼロ初期値から出発すると、定常に達するまでには10周期程必要とされます。Fig,3では2周期目でほぼ定常解が得られます。Fig.4に回転子に働く回転トルクを同様に示します。この場合も2周期目でほぼ定常に達しています。
Fig.3,4からは、交流解析でほぼ一次巻線電流、平均トルクが評価できることがわかります。


Fig.5、6には回転子回転数1125rpm、すべりS=0.25の場合の結果を示します。この場合、交流定常解析では、若干一次巻線電流が小さく、平均トルクが大きくなっていますが、それでも過渡解析2周期目で定常に達していると思われます。交流定常解析の結果は、入力する磁性体線形透磁率に寄りますが、少なくともこの例では、あまり過渡解析に影響しないようです。


Fig.7,8に鉄材中の磁束密度強度および磁束分布を示します。磁束は、指定したz方向幅(DELTA_Z=42mm)を通過する磁束量です。磁場は等磁束線の方向を向きます。磁束線が、スライド面を横切って正常に連続していることが見て取れます。Fig.9に同じ場合の、磁束密度矢印図の一部を示します。
Fig.10には、一次巻線およびローターバーの電流密度変化を示します。一周期のみを表示していますので、解りにくいかもしれませんが、一次巻線の電流分布の回転に対し、ロータがすべりS=0.25だけ遅く回転していること、ロータバーの電流は一次電流とほぼ逆フェーズで同じ速度で回転していることがわかります。
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| Fig.7 磁束密度強度分布 (S=0.25, 0.04sec)、単位T | Fig.8 磁束分布(S=0.25, 0.04sec)、単位Wb |
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| Fig.9 磁束密度矢印図 (S=0.25, 0.04sec)、単位T | Fig.10 一次巻線、ロータバー電流密度(S=0.25, 0.02〜0.04sec)、 単位A/m2 |
1.スライド法を用いた交流定常解析
(1)2.解析の種類で、AC=1, MOTION=22.交流定常解析を初期値として用いる
(2)14.周期境界条件で静磁場、過渡解析と同様にSLIDE_MAT,SLIDE_NDEVを入力
(3)16.要素特性で、線形比透磁率を入力
(4)17.6. 電源と結線、行7のデータに、その電源がロータ部につながれている場合、ROTOR_OR_STATOR=1と入力
(5)19.運動の定義に、SUBERI_Sにすべり係数Sを入力。
本機能において、ローター部の電流密度分布や発熱は今のところ整備されておりません。主に、次の初期値決定に用います。次の初期値設定のためには、電源回路構成、定電流、定電圧の定義は過渡解析のものと同じにして下さい。
(1)交流定常解析の結果のsolutionsをold_solutionsに名前を変えて下さい。
(2)7.初期条件で、INITIAL_STEP=0, DATA_TYPE=1とし、INITIAL_PHASEに交流定常解析のどの位相(度)から始めるかを指定。
(3)17.6. 電源と結線で定電圧電源電流初期値を999.と入力。999.は初期値を前ランの結果を取ることを示します。
使用データ:input.AC---交流定常解析 input.1125rpm---過渡解析 pre_geom2D.neu---固定子メッシュデータ
rotor_mesh2D.neu---回転子メッシュデータ
Release 8.6版
input.AC.r8.6,input.1125rpm.r8.6