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スライド法を用いた解析

滑りがある場合の回転機AC定常解析

誘導電動機の解析」では、初期値として滑りのあるAC定常解析を行い、過渡解析に使用しました。ここでは、このAC定常解析について、補足説明をしたいと思います。
滑りのあるAC定常解析は、実際は回転している回転子を固定し、回転子が固定子側から受ける磁場の周波数が固定子側の周波数のs(滑り係数)倍になるとして計算します。固定子、回転子はともに一般的には回転方向に一様でなく、磁場は回転方向に高調波成分を含みますが、これを無視し、基本波成分のみと考える近似をします。この様な近似をしますと、例えば回転子が固定子磁場に同期している場合(s=0)には、回転子は静磁場中にあるように見えます。また、s=0.5の場合は、回転子は固定子周波数の半分の周波数の磁場を感じることになります。滑りを1より大きいs=2.0としますと、回転子は固定子磁場と逆方向に動くことになり、倍の周波数を感じることになります(r9.2より、1より大きな滑り係数を入力できるようになりました)。
上に述べましたように、本解析法はあくまで近似解析です。線形解析に限られることはもちろんですが、回転方向への構造の一様性や、固定子が作る磁場が基本波のみであるという仮定を行っています。このため、これらの仮定が成り立たないときには、過渡解析を行う必要があります。以下、「誘導電動機の解析」で示しましたモデルを用いて、AC定常解析の結果を過渡解析と比較して見てみたいと思います。
Fig.1はs=0.25として、固定子巻き線電流位相60度での磁束分布を示します。また、Fig.2では、回転を含む過渡解析による同位相での磁束分布を示します。初期値としてはAC定常解析のゼロ度の解を使用し、線形解析を行っています。この位相では、回転子は60*s=15度の位置にあります。Fig.1と2を比べてみますと、詳細は異なりますが、かなりよい一致が見られます。AC定常解析によっても概略の磁場等の評価ができることが窺えます。Fig.3に動画で磁場の変動を示します。磁場自体は、固定子磁場と同じ速度で回転していますが、固定子は磁場の回転に比べて1-s=3/4の速度で回転している場合を近似しています。
同様な解析をs=2.0の固定子磁場と逆方向に回転子が回転している場合を、Fig.4、5に示します。回転子と固定子の相対速度が大きく、ロータバーの誘導電流が大きくなり、磁場がより大きくゆがんでいます。ロータバーやスロットの運動方向の非一様性が大きな効果を持ち、前の解析よりAC定常解析と過渡解析の差は大きくでていますが、それでもかなりな一致を示しています。

Fig.1 AC steady calculation (s=0.25, Phase 60 deg)
Fig.2 Transient calculation (s=0.25, Phase 60 deg)
Fig.3 Time variation of magnetic flux by AC steady calculation(s=0.25)
Fig.4 AC steady calculation (s=2.0, Phase 62.7 deg)
Fig.5 Transient calculation (s=2.0, Phase 62.7 deg)


スライド法を用いた解析
滑りのある場合の回転機AC定常解析
スライド面を2面使用した解析
スライド面が中心軸を含む場合の解析
スライド運動解析時における外部電流磁場ソースの使用

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