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Adventure ProjectのメッシュジェネレータとEMSolutionの磁場解析

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Adventure Projectでは,メッシュ生成コードや構造解析ソルバー等のソースコードが公開されています。ここでは,そのメッシュジェネレータを使用し,有限要素メッシュを作成し,EMSolutionによる磁場解析への適用性を検討しましたので,報告します。

Adventure Projectは並列計算機による大規模解析を目的としています。今後,電磁場解析におきましても精度向上のために,大規模で高速な解析の必要性がますます高まると考えられます。本プロジェクトのメッシュ生成プログラムは,汎用的な四面体メッシュを生成することができ,大規模計算のみならず通常の磁場解析メッシュジェネレータとして可能性は大きいかと考えます。現状,電磁場解析におきましてもメッシュ生成は解析作業の中で多大の割合を占めており,その高性能化,自動化が叫ばれています。

Adventure Projectのメッシュ生成コードは,以下の二つのモジュールからなっています。

  • ADVENTURE_TriPatch (IGESファイルから3角形表面パッチ生成)
  • ADVENTURE_TetMesh (3角形表面パッチから四面体メッシュを生成)

これらのモジュールを組み合わせ,磁場解析用メッシュデータを作成してみました。出発点の初期データとしてはIGESフォーマットの形状定義データとし,出力のメッシュデータをそのままEMSolutionの入力データとして使えるかを試行するものです。まず,IGESの形状データはFig.1に示すもので,電気学会静磁界検証用モデルとしました。IGESデータの作成につきましては,FEMAP Pro V8.1を使用しました。IGESデータは,広く使用されており他のCADコードによっても作成できるかと考えます。このデータでは,磁性体,コイル空気の3領域で構成されます。

電気学会静磁界検証用モデル IGESデータ
Fig.1 電気学会静磁界検証用モデル IGESデータ


TriPatchにより,各領域の三角形からなる表面パッチが生成されます。領域間の面状のパッチをマージするプログラムが用意されています。TetMeshでは,表面パッチで形状の悪いものを補正した後,四面体要素が領域内に生成されます。これらの生成においては,節点分布データにより要素の粗密をコントロールすることができます。節点分布データには,点,線,面等からの距離により粗密を与えることができます。これまでの実行には,大小合わせて,4つのプログラムを合計7回実行する必要が有りました。これらはバッチ処理により連続して行うことができました。

この結果生成されたメッシュはFig.2,3の様になりました。形状の良い四面体が生成されているjことが見て取れます。また,今の場合,磁性体の角点近傍にメッシュを集中させましたが,所望の結果が得られました。節点数68,370,要素数403,966のメッシュとなっています。実行には,Pentium 4, 2.52GHzで9分程度必要としました。

Adventureメッシュジェネレータによって生成されたメッシュ(全体)
Fig.2 Adventureメッシュジェネレータによって生成されたメッシュ(全体)
Adventureメッシュジェネレータによって生成されたメッシュ(全体)
Fig.3 Adventureメッシュジェネレータによって生成されたメッシュ(磁性体とコイル)


次に生成されたメッシュデータを使ってEMSolutionの解析をしました。ただ,コイル定義(表面定義電流ソースSDEFCOIL)のために,コイル表面での面要素定義が必要でしたが,これは,FEMAPの機能を使用しました。Fig.4,5に結果として有られた磁束密度強度分布を示します。角点近傍の磁場集中がよく見て取れます。EMSolutionの解析時間は160秒となりました。


EMSolution解析結果(磁束密度強度,全体)
Fig.4 EMSolution解析結果(磁束密度強度,全体)


EMSolution解析結果(磁束密度強度,磁性体とコイル)
Fig.5 EMSolution解析結果(磁束密度強度,磁性体とコイル)

以上,Adventure ProjectのメッシュジェネレータでIGESファイルよりメッシュを作成し,EMSolutionで磁場解析を実行する一連の試行を報告しました。今回は,Adventureのプログラムは,FEMAP Neutralファイルの出力を追加した程度で,ほとんどブラックボックスとして使用しました。EMSolutionの計算時間に較べ,メッシュ生成の時間が3倍以上かかっており,気になるところではありますが,メッシュの質は非常によいと思われ充分な機能を有しているものと思われます。

今回の試行では形状データの作成とコイル表面要素定義でFEMAPを援用しています。今後は,FEMAPに依存しない,独自なインターフェースを開発してゆきたいと考えております。四面体メッシュであることによる問題点もありますが,節点二次辺一次要素を用いればそれも克服されると考えます。また,実際解析の対象となる構造は今回のテストのような簡単なものではなく,間単に適用できない場合も有ることが予想されますし,スライド法を使用する場合はどうすればいいかというような問題も考えられます。CADツールからの形状データ出力より,メッシュ作成と磁場解析ができることの利点は大きく,今後の発展が期待されます。今後の開発に関しましては,EMSolutionユーザの方々のご意見を是非お聞きしたいと思います。ご意見をお寄せいただければ幸いです。また,ご支援の程,お願い申し上げます。

by 亀有昭久